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冷え対策グッズ「まるでこたつソックス」、厳冬で“バカ売れ”中 売上 ... - ITmedia ビジネスオンライン

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 日本各地で厳しい寒さが続く中、岡本(大阪市)が販売する機能靴下「靴下サプリ まるでこたつソックス」(こたつソックス)の売り上げが好調だ。足先の冷え対策商品としてSNSやテレビに取り上げられ話題となり、公式オンラインストアでの販売分はすでに完売。「楽天市場」「Amazon.co.jp」などのECサイトでも品薄となっている。同社広報によると、売り上げ増加には機能性以外の要因もあるという。詳細を聞いた。

photo 「靴下サプリ まるでこたつソックス」

「魔法瓶のような保温性」 創業88年企業の“あったか靴下”

 こたつソックスを手掛けるのは、レッグウェア製造卸販売大手の岡本。1934年創業の老舗企業で、紳士用靴下や婦人向けのストッキングを中心に、靴下の売上高では国内トップ(8月3日付けの繊研新聞調べ)を誇る。

photo 奈良県内にある岡本の本店(出典:同社公式Webサイト)

 商品名の通り、一度着用すると、まるでこたつに入っているかのように感じる温かさが大きな特徴。足先から全身を包み込むような温かさを生み出すことから、15年の発売以来、利用者からは「カイロ入ってる?」「冷え性の救世主!」などの声が続出し、Twitterを中心に話題となるとともに冷え性に悩む女性を中心にプレゼントとしても人気に。21年は完売を繰り返し、最終的に前年比6倍の売り上げを記録した。

photo こたつに入っているかのように感じる温かさが大きな特徴
photo プレゼントとしても人気

 最近もSNSでその機能性が注目を集めた。漫画家・イラストレーターのいしかわひろこさん(@kumainunews)は、自身の公式Twitterアカウントで公開した作品で「魔法瓶見たいでマジですごい。湯たんぽやヒーターの出動回数が減った」と紹介し、同製品を絶賛した。

 同社広報に聞くと、前年の好評を受け、全国放送でのテレビCMを放送。PRを強化し、生産数も増やしたものの、公式オンラインストアでは既に完売したという。店舗や販売サイトも「品切れの可能性がある」とするほどの売れ行きだ。

photo 公式オンラインストアでは軒並み売り切れに

 販売好調の一因として例年とは異なる傾向もあるという。今年の激しい寒暖差と厳しい寒さだ。通常は11月から12月に販売のピークを迎えるが、今年に限っては8月下旬から寒さが一時的に到来。その後、暑さが戻ったものの「前年に購入できなかった」としてピーク前に購入する動きが広がった。

 ウクライナ戦争などに起因するエネルギー需要の増加で、電力各社が電気代を値上げする中、経済産業省(資源エネルギー庁)が5月に発表した「23年2月に過去10年で最も厳しい電力需給が到来する」との予測通り、12月以降は各地で厳しい寒さが続き、寒さ対策の商品として爆発的なニーズを生んだ。

秘訣は足首 温かさ生み出す特許取得の特殊構造

 優れた保温性を実現しているのが、特許取得の特殊構造だ。東洋医学では「冷え改善のツボ」と呼ばれる、くるぶしから指4本分上の足つぼ「三陰交」を刺激することで、血行が良くなり、身体が温まるといわれている。このため、こたつソックスでは部位ごとに編み方を変え、特に足首部分は三陰交を温熱刺激できる設計を採用している。

 足の冷えを防ぐには、優れた保温性も欠かせない。足先からふくらはぎまでは独自開発の特殊保温素材を、足首の三陰交部分には発熱素材をそれぞれ使用。温熱刺激する構造で足首部分を温め、その温度を保温するような構造となっている。ふわふわとやわらかい素材を使い、靴下としての優れた履き心地も実現した。

photo 温かさの仕組み(出典:同社提供資料)

リブランディングで名称変更 売り上げ17倍

 一見すると、SNSでの反響や気候変化で生まれたニーズから、売り上げを伸ばしたように見えるこたつソックスだが、同社によると、他にも要因はあるという。それは7年前に行ったリブランディングだ。

 実は、同製品は13年に「三陰交をあたためるソックス」として発売していた。「人々が持つ足の悩みに寄り添う」をテーマに、ユーザー調査の結果などを受けて開発した。画期的な靴下で、機能も現在のこたつソックスと同じものだったが、当時は東洋医学由来の三陰交が一般的に浸透しておらず、「どんな商品か分かりにくい」という理由で、ヒットには至らなかった。

photo 13年に発売した「三陰交をあたためるソックス」から、名前とパッケージを刷新した(出典:同社の過去のプレスリリース)

 そこで「これまで足の冷えが解決せず悩む人に、どうすれば商品の良さを分かってもらえるか」と社内のブランドチームが検討。ネーミングに課題があるとして試行錯誤の結果、「商品の特徴と機能性が1発で分かるように」との願いを込めた「まるでこたつ」というネーミングが生まれた。

 ブランド名の「靴下サプリ」にちなんで、パッケージデザインはサプリメントをイメージしたものに刷新した。同社は「ネーミング・イメージを重視して靴下業界では常識外れの『商品に触れられない、見えない』というパッケージにあえて挑戦した」と説明している。

 名称変更に合わせ、ターゲットも変更した。旧名称では60歳以上のシニア層をターゲットに据えていたが、新名称では30代から40代の中年層をターゲットに設定した。その後の追跡調査でも、実際にターゲットとする層が購入していることが分かり、マーケティング上の仮説が証明された。

 一連のリブランディングに取り組んだところ、13年と16年の出荷数を比較すると、売り上げが17倍に増加した。SNSで話題になったことで、現在は10代や20代の若年層が購入しているケースもあるという。

 好調な売り上げやSNSでの反響について同社は「口コミなどで自社では発信できない情報を発信してくれている。商品の価値が認められて、製造元としてうれしい」との受け止めを示した。

 外出時にはシリーズ商品の「レッグウォーマー」「足首ウォーマー」を使用することで、ビジネスシーンでも利用できるようにしている。

photo シリーズ商品の「レッグウォーマー」「足首ウォーマー」(出典:同社提供資料)

 同社は「在宅勤務を導入する企業が増え、冷えたフローリングの上で作業するビジネスパーソンが増えている。自宅ではソックス、外出時はレッグウォーマーと足首ウォーマーを使用し、商談などの場面に集中してもらえれば」──と、在宅での需要も見込んでいる。

photo フローリングがある自宅で作業するビジネスパーソン(提供:ゲッティイメージズ)

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December 22, 2022 at 04:30AM
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