英国の覆面芸術家、バンクシーは4日、英南部レディングの旧刑務所の外壁に描かれた絵が自作であることを、自身のウェブサイトで明らかにした。囚人が脱走を図る様子が描かれており、19世紀末に収容されていた作家オスカー・ワイルドを模したものではないかと話題になっている。
外壁に描かれた囚人は、シーツのようなものをロープ代わりにして壁を乗り越えて脱出しようとしており、ロープの端にはタイプライターがぶら下がっている。バンクシーは自身のウェブサイトで、暗闇の中で型紙とスプレーを使って絵を仕上げていく動画を公開。動画は「脱出」と名付けられた。
絵は今月1日の朝に見つかり、ソーシャルメディアで「バンクシーのものでは」「芸術施設としての活用に強力な後押しになる」などと話題になっていた。
この旧刑務所は、ワイルドが同性の文筆家アルフレッド・ダグラスとの関係をめぐって有罪となり、1895~97年に収容されていたことで知られる。ワイルドはこの牢獄体験をもとに詩も残した。刑務所は2014年に閉鎖され、英政府によって19年に売りに出されたが、地元自治体は芸術の複合施設として保存することを望み、俳優のジュディ・デンチさんやケネス・ブラナーさんらが支持を表明している。(ロンドン=下司佳代子)
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