岸田輝男（きしだ・てるお）さん（77）
全国でも数少ない靴下職人。気難しい顔が思い浮かぶかもしれないが、鳥取市用瀬町別府の国道482号沿いに建つ店舗兼工房を訪ねれば、つまらぬ臆測だったと悔悟する。「こだわり？ さあ、何だろうね」。威張らず、おごらず、柔和な笑顔が似合うプロフェッショナルだ。
郷里の用瀬で、靴下や手袋の製造から販売までを手掛ける工房を設けて40年が過ぎた。地元の高校を卒業し、兵庫の繊維会社に就職。1970年の大阪万博を控えた高度経済成長の時代に、女性のストッキングを製造する工場に勤めた。以後は開発企画部門にも籍を置くが、安価な海外製が市場を席巻する。関東や東北への転勤が続いた末の35歳で帰郷し、工房を開いた。
「始めれば、そのうち誰かが買ってくれるでしょ」。創業の意図をさらりと言うが、編み機などこれまでの設備投資に要した金額は「家2軒分」。妻と2人で寝る間を惜しんで働いた。創業から間もなく、五指が独立して収まる靴下「あしぶくろ」を1年半かけて商品化。編み機で整形したのち指の付け根など細部をミシンで縫製する丁寧な作りは、肌触りの良さもあって人気商品となった。自ら販路開拓した山形から福岡までの店舗で販売す…
October 17, 2021 at 04:12AM
https://mainichi.jp/articles/20211017/ddl/k31/040/267000c
山陰・この人：靴下工房代表 岸田輝男さん（77） 威張らず、おごらず40年 ／鳥取 - 毎日新聞
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