奈良県広陵町の老舗靴下メーカー「昌和莫大小(しょうわめりやす)」が、熱中症リスクを軽減する野球帽の開発に取り組んでいる。子供の運動能力の向上などを研究する日本薬科大大学院の多根井重晴教授と共同で企画。すでに試作品を少年野球チームに提供しており、使用感を評価してもらった上で、来夏の商品化を目指す。
開発は、今年6月からスタート。肌に触れるとひんやりと感じる接触冷感素材を用い、UV(紫外線)カット加工をほどこし、色は、太陽光が反射しやすく温度が上がりにくいとされる白色とした。
多根井教授は「熱中症の症状が出てからではなく、未然に防がなければならない。いかに、太陽光の熱からくるダメージを軽減できるかがポイントだ」と話す。
同社の井上克昭社長(58)によると、多根井教授の呼びかけで、少年野球で使う靴下の開発を進めていたところ、少年野球チームの練習を見学し、「熱中症対策の必要性を実感した」という。
このため靴下と並行して、熱中症対策をほどこした野球帽の開発に取り組むことに。試作品の野球帽25個を橿原市の少年軟式野球チーム「畝傍ベースボールクラブ」に提供し、実際の使い心地などを評価してもらうことにした。
同チームのコーチ代表、中西慎哉さん(39)は、「夏場は選手が暑さで体調を崩すこともあり、熱中症予防のため、さまざまな工夫が必要だ」と話す。他チームの選手が試合中に熱中症で救急搬送されたケースもあったといい、「野球帽が少しでも熱中症予防につながれば」と期待する。
同社ではこれまでランナーやバスケットボール選手用の靴下などを開発してきた。
「帽子の製作は初めてだが、ランナーや登山家からの声を集め、アイデアを温めていた。靴下で培った素材開発や織物技術などを生かしたい」と井上社長。商品は大人用やランナー向けも計画中で、「選手らが気持ちよく快適にプレーできるよう地元企業として貢献したい」と語る。
August 18, 2022 at 06:49PM
https://www.sankei.com/article/20220818-3OUVZ27535OTXPLCJ3AB5A4FGM/
熱中症予防の野球帽を商品化へ 奈良の靴下メーカー - 産経ニュース
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