漫画家・吾峠呼世晴(ごとうげ・こよはる)氏原作の人気漫画「鬼滅の刃」をアニメ映画化し、10月16日に封切られた「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」(外崎春雄監督)が1日、興行収入(興収)150億円を突破した。製作、配給のアニプレックスが2日、発表した。初日から1日までの17日間で興収157億9936万5450円、動員1189万1254人を記録した。日本国内の歴代興収ランキングでも、興収156億円の09年の「アバター」を抜き、10位に浮上した。
公開から10日の10月25日時点で、興収107億5423万2550円、動員798万3442人を記録。日本歴代最高の興収308億円を記録した、宮崎駿監督の01年のアニメ映画「千と千尋の神隠し」が持っていた、興収100億円突破最速記録の25日を19年ぶりに15日間も更新した。さらに同31日に都内で行われた公開御礼舞台あいさつで、同日に観客動員1000万人を突破したと発表された。
主人公竈門炭治郎(かまど・たんじろう)を演じた声優花江夏樹は、公開御礼舞台あいさつの席上で「10月16日に公開の『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』。たくさんの方にご覧いただき、なんと本日観客動員1000万人を突破いたしました! たくさんの方々に楽しんで頂けて感謝です。これからも炭治郎を演じることができた喜びと煉獄さんから贈られた言葉を忘れずに今後も頑張っていきたいと思います!」と、喜びと今後への意欲を語った。
炎の呼吸を使う炎柱・煉獄(れんごく)杏寿郎を演じた日野聡も「この無限列車編に関わるすべての皆様が心を燃やして挑みました。世界中が大変なときだからこそ家族との愛、命の在り方、生きるというこの現実を受け止めながらも前に進むというメッセージを本作から受け取っていただければと思います」と、コロナ禍で大ヒットしている作品に込めた思いを語った。
「鬼滅の刃」は、2016年2月15日発売の「週刊少年ジャンプ」で連載がスタートし、5月18日発売の同誌まで4年3カ月の間、休載なしで205話、掲載された。大正時代を舞台に、炭治郎が家族を殺した鬼と戦うために修業して「鬼殺隊」に入隊し、鬼と化した妹禰豆子を人間に戻す方法を探して戦っていく物語。19年4月から9月までアニメが放送され、人気が爆発的に高まった。
今回の劇場版では40人以上の行方不明者を出しているという無限列車を舞台に、炭治郎たちと魘夢との激闘が描かれた。テレビシリーズにも出ていた煉獄が、任務に挑む姿が初めて描かれ、後輩の炭治郎らに激励の言葉を投げかけるなど、おとこ気のある姿勢に共感の声が相次いでいる。
映像美も評判で、終盤に煉獄が上弦の参の鬼・猗窩座(あかざ)と激闘を演じるシーンをはじめ、アニメを超え、実写の質感があると評価が高い。煉獄と猗窩座の戦いの後、席ですすり泣く女性の姿が劇場の各所で見られ、女性のリピーターも多い。猗窩座を演じた石田彰は「皆さんご覧いただいたように無限列車編はこのような形で着地をしました。おそらくみなさんの記憶の中では煉獄さんが! !という気持ちでいっぱいになっているかと思いますが、冷静になってください。(史上最強の敵の)魘夢(えんむ)すごい気持ち悪かったでしょ、炭治郎の夢がでてきて『ああ、この夢が続けばいいのに』と思ったでしょ、そういうことを思い出すためにまた劇場へ来てくださればと思います」と観客に呼びかけている。
次の大台突破が期待されるのは、興収200億円だ。過去、日本国内で興収200億円を突破したのは「千と千尋の神隠し」以下
<2>「タイタニック」(97年)262億円
<3>「アナと雪の女王」(14年)255億円
<4>「君の名は。」(16年)250億3000万円
<5>「ハリー・ポッターと賢者の石」(01年)203億円
の5作品のみ。近年では「アナと雪の女王」が公開から73日間、「君の名は。」が公開から102間で興収200億を突破したことが記憶に新しい。「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」が、もし公開3週目に興収200億円を突破すれば、日本映画史に新たな1ページを刻むことになる。
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