「喝采」「北酒場」で日本レコード大賞を受賞した、作詞作曲家で歌手の中村泰士(なかむら・たいじ)さんが20日午後11時50分、肝臓がんのため、大阪市内の病院で亡くなっていたことが24日、分かった。81歳だった。

中村さんの関係者によると、コロナ禍の現況を考えた本人の遺志により、葬儀は大阪市内の寺院で、密葬として終えられた。親族ら約10人に見送られたという。ひつぎには天国でも音楽活動ができるようにと願い、愛用のアコースティックギター、楽譜、ペンなどが収められた。喪主は、長男の中村修士(なかむら・しゅうじ)さん。

後日、「中村さんの伝えたかった音楽をお聴きいただくための会」を開催方針で、30~から50代の一般ファンも招く予定という。

中村さんは今秋に肝臓がんが判明。闘病を続けながらも、11月には大阪市内のスタジオで新曲11曲を収録。YouTube「中村泰士G POPチャンネル」で公開していた。

さらに、11月14日には、ビルボードライブ大阪でワンマンライブを開き、12月5日には客船内でライブステージに立った。客船ライブが最後のステージとなった。

中村さんは傘寿(80歳)を迎えた昨年、目標に「1年で80ステージ」を掲げて達成。今年6月にも、コロナ禍を乗り越え、無観客での配信ライブを行うなど、作り手としてだけではなく、歌い手としても精力的に活動。大人のポップスを手がけ、歌い「もう歌手やから、名前に『さん』とか『氏』いらんねん」などと言い、音楽家としての再出発を誓ったばかりだった。