休業すべきか、継続すべきか――。3度目となる緊急事態宣言の適用前日の24日、映画館や劇場、美術館などの文化施設は、東京都による休業要請などの対応に追われた。
休業要請の対象となった「TOHOシネマズ」「松竹マルチプレックスシアターズ」「ティ・ジョイ」「イオンシネマ」など大手シネコンの多くは25日からの営業休止を発表した。映画館団体の全国興行生活衛生同業組合連合会(全興連)は政府に対し、座席数制限や時短営業などの対策を取って営業を続けられるよう陳情書を提出していたが、認められなかったという。映画興行会社幹部は「感染拡大を止めなければならないので仕方ない部分はある」としつつ、「東京の映画館が休業すれば、観客は神奈川や千葉、埼玉の映画館に見に行くことになる。これでどうして人流抑制につながるのか」と効果に疑問を呈する。
一方で、1千平方メートル以下の商業施設で、休業の「協力依頼」の対象となったミニシアターの一部は営業の継続を決断した。
東京・渋谷の「ユーロスペース」支配人の北條誠人さんは「大型連休前に突然で、心の準備もできていなかった」と言う。同館は、各作品のプロデューサーや配給会社などの意向を確認しながら協議を進め、休業せずに25日から座席数を半分にして継続する予定だ。「判断するにも、協力というあいまいな形のしんどさがある。なおかつ協力金として1日2万円。香典のつもりか」
渋谷のシアター・イメージフォーラムも営業を続ける方針で、28日からは座席を間引くなどの対策をとる。支配人の山下宏洋さんは「昨年の休館の後、お客さんがなかなか戻らず、かなりのダメージを身をもって感じた。普段の環境の中に映画や文化があることを絶やさないようにしたい」。
同じく「継続」を決断したのは、都内の四つの寄席だ。25日以降も客数の定員を半数以下に減らして通常通り興行をする。昨年6月以降に定席を再開後、場内の換気をするため、休憩を増やすなどの対策をとってきた。
興行を続ける理由について、浅草演芸ホールは、都からの無観客開催の要請文に「社会生活の維持に必要なものを除く」との記載があると指摘。「(落語や漫才などの)大衆娯楽である寄席は『必要なもの』に該当すると判断した」と説明する。浪曲定席の浅草・木馬亭も、昨年延期した50周年記念公演を5月1日から実施する予定という。
最終日が繰り上げで「駆け込み」行列も
一方で、演劇やコンサートな…
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