ジョニー・デップが真田広之ら日本人キャストと共演する映画『MINAMATA-ミナマタ-』(公開中)。日本で起きた歴史的な惨事を、アメリカの写真家ユージン・スミスを通して真っ向から描いたアンドリュー・レヴィタス監督が、「日本人以外が日本人を演じることは一秒たりとも考えなかった」というキャスティングについて語った。 【動画】ジョニー・デップとの共演を振り返る美波 水俣病が公式に確認されてから65年(公害病認定は1968年)。1971年から1974年の3年間にわたって水俣で暮らしながら、公害に苦しむ人々の日常と闘いの日々を撮影し、1975年に当時の妻アイリーン・スミスと写真集「MINAMATA」を発表したユージン・スミス(ジョニー・デップ)の軌跡をたどる本作。ジョニーの指名によってメガホンをとることになったレヴィタス監督だが、実話ゆえに批判を受ける恐怖はなかったのか。
「批判や圧力は一切なかったです。水俣に赴き、患者の方やご家族とお会いしましたが皆さん激励してくださいました。そして、史実においてリサーチを進めるうえで、多くの方が協力を申し出てくれました。撮影や配給に関して、わたしたちの描きたかった正義の在り方に同調していただけない方も一部いましたが、とりわけアイリーン・スミスさんはわたしたちをずっと応援してくださった」
本作では多くの日本人キャストを起用。日本の大企業チッソに補償を求める運動の先頭に立つヤマザキ・ミツオ役の真田広之をはじめ、美波、國村隼、浅野忠信、加瀬亮、岩瀬晶子、青木柚らが名を連ねる。製作国はアメリカであり、日本人役に外国の俳優を起用する選択肢も考えられるが、レヴィタス監督は「一秒たりとも考えなかった」と一蹴。あくまで日本人の俳優が日本人を演じることが絶対的な条件だったという。
「この映画は日本人の方に向けて作った映画でもあるので、外国人の俳優を起用することはあり得ませんでした。日本人以外の応募や推薦もありましたが、考慮しなかったですね。國村隼さん以外、このキャラクターを誰も演じられません。真田広之さんだけではなく、全員わたしの夢のキャスティングでした。浅野忠信さんがあの役を受けてくださり、非常にこのテーマに関心を持ってくださってすごく嬉しかったです。加瀬亮さんはずっとファンでして、素晴らしい演技を披露してくださいました。(水俣病の)患者を演じてくれた若手(青木柚)も信じられないほどの実力を持った方でした」
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