芸能事務所に欠けている点
共通点は3点。その1、みな一様に若い。これは今月、厚生労働省が発表した2019年の『人口動態統計』が示している、15歳から39歳の死因の第一位が「自殺」であることと符合する。 その2、みな一様に売れっ子で、仕事は順調、人気に陰りがない。生活苦、経済苦の要素は、まったくといっていいほど、見受けられない。三浦さんはTBS系の連続ドラマの撮影中で、亡くなった前日も撮影し、当日も撮影が予定されていたという。 その3、これが実に引っかかる点なのだが、周囲がまったくその兆候に気づかなかったこと。真夜中に命を絶った竹内さんは、その前日の夜も家族といつも通り食事を取っていたという。 なぜ気づかなかったのか、と周囲に求めるのは非情だ。 「とはいえ、芸能事務所のあり方を考え直さないといけないと突き付けられているととらえる必要があるんじゃないか」 そう打ち明けるのは芸能プロダクション幹部だ。これまでは仕事のマネージメントだけが芸能事務所の中心業務で、芸能マネージャーはタレントの私設秘書のような存在だった。 「心をケアする、という発想が、昔からの芸能事務所には欠けている。芸能界を生き残るのためには、周囲を蹴落とせる図太さが必要だから、ちょっとやそっとじゃ折れないタレントがのし上がれる、と思い込んでいる節がある。でも考えてみれば、そんな強い人ばかりじゃないですからね」(前出・芸能プロダクション幹部) コロナ禍で、芸能プロダクションの売り上げも減り、営業活動についても、以前ほど活発にできなくなっている。 「ここしばらく芸能プロダクションの関心は、タレントと反社の関係をどう断つか、にあった。そのための講習会を開いている事務所もありますが、これからはタレントに対する心のケアの講習会、心のケアができるマネジャーの育成が急務でしょうね」(前出・芸能プロダクション幹部) 新たな犠牲者を出さないためにも、芸能プロダクションのあり方も変わる時期に来ている。 〈取材・文/薮入うらら〉
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